「性の多様性を尊重する」とは どういうことか
先月11月28日、同性婚を認めない現行法は「合憲」である、という東京高裁での判決が報道されました。同性婚を認めない民法や戸籍法の規定が憲法違反であるとして国を訴えているものですが、全国6件の訴訟のうち5件についてはいずれも「違憲」判決が出ていました。今回の判決を受けて原告の一人は、次のように話しています。「リスクを背負ってまで法廷に立ち続けたのは、制度の不便さだけが理由ではありませんでした。制度から排除され、社会から存在しないものと扱われ続けることが、どれほど自分の人生をじわじわ蝕んでいくのか、どれほど人の尊厳を削り取っていくのか、私は身をもって知っているからです。この裁判は、私自身の尊厳を取り戻すための戦いであり、今を生きる人、そしてこれから生まれる誰かが、自分の人生を語れるようになってほしいとの思いを込めた戦いでした。」
2015年11月に東京都渋谷区・世田谷区が全国で初めてパートナーシップ制度を開始して10年。「認定NPO法人虹色ダイバーシティ」によれば、パートナーシップ制度を導入する自治体は2025年5月末時点では532自治体が導入、登録件数は9,837組になったということです。
町田市は2023年4月に「性の多様性の尊重に関する条例」、パートナーシップ宣誓制度が施行されました。必要とされているから自治体が導入しているのです。国は実態に合わせ、法整備の議論を進めるべきです。
すべての子どもたちの未来のために
性の多様性尊重社会の実現を目指す認定NPO法人ReBitが12-34歳、約5000名を対象にした25年度の調査結果では、過去1年に、中高生の9割が学校で困難やハラスメントを経験し、うち64%は教職員が要因という結果が出ています。
小中学校では性教育や人権教育に取り組んでいることになっているのですが、小学校の保健体育の授業で、性的指向や性自認の多様性について教わったと答えた中学生は31.0%、「思春期になると異性に関心が芽生える」と教わった中学生は84.2%にのぼり、教科書に記載されていても、授業の中では多様な性について十分に取り上げられていないのが現状のようです。10代LGBTQのうち、過去1年で53.9%が自殺念慮、19.6%が自殺未遂、42.2%が自傷行為を経験。2021年の日本財団の調査と比較すると、それぞれ3~4倍に増えています。
性の多様性を尊重する、ということはいわゆる「普通の女子・男子」と思われる子どもたちにとっても、社会が求める女の子、男の子にあてはめるのではなく、性のありかたは多様であり、その個性を自由に発揮できる 環境を保障すること、子どもたち一人ひとりの未来を守ることなのです。